『ハタ・ヨーガ・プラディーピカー』第4章5〜7節/サマーディの定義
『ハタ・ヨーガ・プラディーピカー』は16世紀頃にスヴァートマーラーマが著したハタ・ヨーガの代表的な教典です。
プラディーピカーとは「小さな灯り」を意味します。
諸説が氾濫して、どの道がラージャ・ヨーガに行く道か迷っている人たちのために、その道しるべになるようにスヴァートマーラーマが親切にもランプ(プラディーピカー)を照らす
Ⅰー3
『ハタ・ヨーガ・プラディーピカー 前編』成瀬貴良
6世紀頃にも諸説が氾濫していたんですね。
ヨーガって何?と、思われる方は、ぜひ教典に書かれていることを学んで、実践してみてくださいね。
この実践があるっていうのが、ヨーガのすごいところです。
一緒に学んでいきましょう♪
いつでも参加できるように、学習会で学んだことを少しづつご紹介していきます。
サマーディの定義
サマーディの定義は第4章5節〜7節にかけて書かれています。
Ⅳー5
水と塩が(溶け込んで)一つになるように、ヨーガではアートマンとマナスが一つになることがサマーディといわれる。
Ⅳー6
プラーナが弱まったとき、心もまた消滅し、(それらが)合一したときサマーディといわれる。
Ⅳー7
それゆえに、ジーヴァ・アートマンとパラマ・アートマンの二つがひとつになり、すべての観念が消滅したとき、サマーディといわれる。
『ハタ・ヨーガ・プラディーピカー 後編』成瀬貴良
5節で出てくるアートマンとは「真実の自己」、マナスは「表面的な心の働き、意識」という意味です。
この二つの状態がひとつになるという例えで説明されています。
成瀬先生はヴェーダーンタ的な例えだと解説されています。
サーンキヤ哲学では、チッタ(心)の働きを止滅しなければサマーディに到達しません。
チッタ(心)はプルシャ(真実の自己)ではなく、プラクリティ(根本原質)の一部で、ブッディ(認識作用)、アハンカーラ(自己感覚)、マナス(表面的な心の働き、意識、考えるところ)の三つの要素で構成されていると考えます。
サーンキヤ哲学は、この世の中は全て25の原理からできていて、瞑想をすることで最終的に、プルシャ(真実の自己)とプラクリティ(根本原質)の二元(二つ)にすることを説きます。
そして、ヴェーダーンタでは、ブラフマン(最高原理)とアートマン(真実の自己)とが、もともと一つだということに気づきなさい、という教えです。
ここでは、【アートマンとマナスが一つになることがサマーディといわれる】と書かれているので、心の働きを止滅させるのではなく、一つにするのでヴェーダーンタに近いということになります。
先生の本ではさらに詳しく『チャーンドーギヤ・ウパニシャッド』から紹介されていました。
とっても面白いので興味がある方はぜひ本でご確認ください。
また、成瀬先生はシヴァーナンダさんが一般の人にもわかりやすくヴェーダーンタの教えを劇にして伝えていったと仰っていました。
さすが、シヴァーナンダさんですね。高度な教えも人に日々の生活に活かせないと意味がないから、興味をもてる方法で紹介されていたんですね。
6節はとってもハタ・ヨーガ的だと成瀬先生は仰っています。
『ハタ・ヨーガ・プラディーピカー』の第2章はプラーナーヤーマについて書かれている部分でしたが、2節には
プラーナが動くと、チッタも動く。プラーナが動かなければチッタも動かない。ヨーギーは不動の状態を成し遂げるために、プラーナを抑止すべきである。
『ハタ・ヨーガ・プラディーピカー 前編』成瀬貴良
と、書かれていました。
プラーナは「気、エネルギー」という意味です。
チッタは「心」でした。
【プラーナが弱まったとき、心もまた消滅し、(それらが)合一したときサマーディといわれる。】と書かれていますが、成瀬先生はもともとプラーナとチッタは共にあるので、わざわざ合一させなくてもいいように思われると解説されています。
先生はプラーナとチッタの活動を抑止すると捉えたらよいとコメントされています。
7節の解説を見ていくと最初の部分と後半の部分でヴェーダーンタとサーンキヤのそれぞれを解説していることになります。
まず、最初の部分【ジーヴァ・アートマンとパラマ・アートマンの二つがひとつになり】。
ジーヴァ・アートマンは「真実の自己」、パラマ・アートマンは「ブラフマン(最高原理)」のことなので、ブラフマンとアートマンが一つになるヴェーダーンタ哲学ですね。
ここでもまた『チャーンドーギヤ・ウパニシャッド』からの引用がありました。
そして、後半部分は【すべての観念が消滅したとき、サマーディといわれる】。
すべての観念、すなわち心の働きが消滅したらサマーディ=ヨーガとは心の働きの止滅(『ヨーガ・スートラ』に説かれているヨーガの定義)。
通常私たちは、私が思うこと(心の働きの状態)が私だと思ってしまいます。
なので、アシュターンガ・ヨーガ(ヨーガの八支則)の実践を通して、心の働きの状態を止めれば、悩みや苦悩から解放され、最終的にサマーディ(アシュターンガ・ヨーガの8番目)に到達できると説いています。
成瀬先生は哲学がサーンキヤになったり、ヴェーダーンタになったりするのは、『バガヴァッド・ギーター』もそうだけれど、『ハタ・ヨーガ・プラディーピカー』も哲学を説きたかったわけではないと仰っていました。
チッタの働きをなくせと説くサーンや哲学、外我一如を説くヴェーダーンタ哲学、シヴァとシャクティの合一を説くタントラなど、サマーディの説明は異なっても同じ頂上を目指すことでは一致しているのです。
『ハタ・ヨーガ・プラディーピカー 後編』成瀬貴良
これは、ハタ・ヨーガでも、ラージャ・ヨーガでも、ジニャーナ・ヨーガでも、バクティ・ヨーガでも、カルマ・ヨーガでも、方法は違ってもみなゴールに到達できるといわれるのと似ていますね。
そして、シヴァーナンダさんは、これらのヨーガを総合的に行いなさいっておっしゃいます。
アーサナ、プラーナーヤーマ、瞑想、キールタン、教典学習・・・無私無執着の行為を心がけて日々過ごしていきたいですね。
11月の学習会の日程
今年の夏は暑かったので、朝の少し早めの頭が冴えている時間に実施してみたら、集中してできたので、8月から時間が変更になっています。
以下、ご確認くださいね。
日時:2023年11月14日火曜日8時30分〜10時
場所:Yoga Bija 清水町教室
講師:加藤 照美(Yoga Bija主宰)
持ち物:『ハタ・ヨーガ・プラディーピカー 後編』(*貸出も可能ですが、数に限りがあります。お申し込み時に必ずお伝えください。)/筆記用具
その他:坐学です。床に坐っても楽な服装でご参加ください。
受講料:3000円
ご予約と締切について
ご予約はLINEでもできるようになりました。
メールやお電話でも受付ていますので、お好きな方法をお選びくださいね。
メール:ylsbija@gmail.com お電話:09079122282(加藤)
ぜひご一緒にヨーガの教典を読みましょう♪
最後に
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猛反省中です。
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加藤